なぜ「和菓子」なのか?子どもが“手で学ぶ”日本文化の魅力
- 一般社団法人こどもわがし協会
- 5月3日
- 読了時間: 3分
はじめに:今、あらためて注目される「和の体験教育」
「日本文化を子どもに伝えたいけれど、何から始めればいいのかわからない」——そんな声をよく耳にします。書道や茶道も素敵だけれど、もっと気軽に、もっと日常の中で、子どもが楽しみながら“和の心”を学べたら。それを叶えるのが、和菓子づくりです。
和菓子は単なる「おやつ」ではありません。季節や自然、行事やおもてなしの心など、日本人が大切にしてきた文化が、ひとつひとつの形や色に込められています。子どもたちは、その和菓子を「手でつくる」ことで、体と心で文化を感じ、学び取っていくのです。
1. 和菓子に込められた四季・行事・感性
和菓子の世界には、日本の四季が息づいています。春は桜、夏は水の涼、秋は紅葉、冬は雪。季節の変化を繊細に表現するその美しさは、まるで自然を手のひらにのせるような体験です。
また、ひな祭りの「ひし餅」や、端午の節句の「柏餅」など、日本の年中行事と深く結びついているのも和菓子の特徴。子どもにとっては、お菓子づくりを通して「今日はどんな意味がある日なんだろう?」と考えるきっかけになります。
さらに、「この形、なんだと思う?」と問いかけるだけで、想像力や観察力、言葉にする力も育ちます。和菓子は、感性と言葉を同時に育てる、優れた“教材”なのです。
2. 日本文化を「体感」する教育としての魅力
和菓子づくりの魅力は、五感をフルに使うこと。
目で見て、手でこねて、香りを感じて、味わって、音を聞く——そうした全身の体験こそが、記憶に残る学びになります。
また、練り切りを丸める、模様をつけるといった細やかな作業は、集中力や丁寧さを自然に身につけるチャンス。完成したときの「できた!」という達成感は、子どもの自己肯定感を高めてくれます。
さらに、和菓子づくりを通して、“静けさ”や“間(ま)”といった、日本文化特有の感覚に触れることができます。これは、日常の中ではなかなか得られない、とても貴重な体験です。
3. 他のアクティビティとの違い
もちろん、料理や工作など、子どもが手を動かす活動は他にもたくさんあります。しかし、和菓子づくりは「文化的な意味」と「食べる喜び」が同時に存在している点が特徴です。
また、3歳頃から始められ、工程も比較的シンプルなため、年齢や性格に合わせた工夫がしやすいのも魅力のひとつ。必要なのは、少しの材料と、親子で楽しむ気持ちだけです。
4. 和菓子は“自分でつくって、自分で伝える”伝統文化
和菓子をつくるということは、自分の手で日本文化を表現すること。完成した和菓子を誰かにふるまうとき、子ども達は自然と「これは紅葉をイメージしてつくったんだよ」「この色は秋の夕焼け」と、自分の思いを言葉にします。
それはまさに、小さな「おもてなし」のはじまり。文化とは、誰かに伝えることで根づいていくものです。
和菓子づくりを通して、子どもたちは「ことばにならない日本の美意識」や「人を想う心」を、体と心で受け取り、自分の中に育てていきます。
まとめ:子どもに残したい“日本の原風景”を手でつくる
これからの時代、「正解のない世界」を生きる子どもたちにとって、自分の感性や文化的な視点をもつことは、大きな強みになります。
和菓子は、その第一歩を、楽しみながら踏み出せる“文化の入り口”。
親から子へ、子からその先の未来へ——
和菓子づくりは、日本の美しさとやさしさをつなぐ、小さなバトンなのです。
最新記事
すべて表示1. 今、子どもに必要な「非認知能力」とは? 非認知能力とは(学力以外の力) 自己肯定感・集中力・創造性など 和菓子づくりが育てる要素との関係
「和菓子×教育」が子どもを育てる理由とは? ・教室で感じた子どもの変化 ・なぜ「食」や「文化」が教育になるのか ・現代の子育てとの接点
Comments